金融機関にお勤めの方は既に本部からの通達などでご存じだと思いますが、“改正犯罪収益移転防止法”が10月1日から施行されます!
この法律が施行されることによって、預金口座を開設する際や200万円を超える現金の入出金を行う際に“取引時確認”の方法が一部変更されることになりますので、金融機関をご利用される際はご注意くださいヽ(´・ω・`)!
……と言われても一般の方ですと「そもそも取引時確認って何のこと?」となると思いますので、軽く説明をいたします。
金融機関における取引時確認というのは、200万円を超える現金の入出金を行う際や10万円を超える現金での振込時など一定の条件に当てはまる取引について、「お客さまの名前」、「住所」、「生年月日」、「取引の目的」、「職業等」あるいは「事業内容」、「実質的支配者」を確認することを言います。
では、今回の犯罪収益移転防止法の改正で取引時確認の何が変わるのでしょうか?
変更点は複数あるのですが、ここでは変更点を3つに絞ってご紹介いたします‼
1.取引時確認において顔写真のない本人確認書類(保険証や年金手帳など)については、住民票の写しなど別の本人確認書類や公共料金の領収書などが必要になる
金融機関に行かれる際は二度手間を防ぐためにも免許証やパスポートなど、顔写真が入っている身分証明証を必ず持って行ってくださいね。もし免許証などをお持ちでない場合は、マイナンバー制度が始まっていますから、顔写真つきの個人番号カードを持って行っても大丈夫ですよ!
ただ、個人番号カードも自治体によって受取りまでに時間がかかっているところもあるようですので、顔写真入りの身分証明書が無い方は要注意です!!
2.電気・ガス・水道料金の振込、入学金・授業料の振込については取引時確認が不要になる
こちらは、利用者にとっては有難い改正ですね!
確認が不要になった理由は「犯罪による収益の移転に利用される恐れが少ない」とのことです。
ちなみに【固定電話や携帯電話の料金支払については、取引時確認が必要】ですのでご注意ください。
3.外国の国家元首、総理大臣、政府等において重要な地位にいる者やその家族等などが法人の役員などである場合、取引の都度、取引時確認が行われ、200万円を超える財産の移転を伴う取引の場合は、資産および収入の状況を確認することが必要になる
これは、大半の人には関係のない話ですね(笑)
この改正は、顧客になりすましている疑いや取引時確認事項を偽っている疑いがある取引としてハイリスク取引に設定されているんです。そのために、改めて厳格な顧客管理をするように政令で指定されました。
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皆様の中には「昔は聞かれなかったのに、今はそんな事まで確認されるの(゚д゚;)?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、「犯罪収益移転防止法」は国際的なマネー・ローンダリングとテロ資金の供与を防止するための法律です。
世界規模で様々なテロ等の事件が取り沙汰される昨今の状況を考えると、確認内容が厳格化されるのは致し方ないのかもしれませんね。
10月以降に金融機関をご利用される場合は手続きに時間を掛かないため、そして世界の平和を守るために改正内容を確認しておくことをお薦め致します‼
そして金融機関にお勤めの方は10月1日までにお客さまにご説明できるよう、再度改正内容をチェックしておくといいかもしれませんね!
改正犯罪収益移転防止法が金融機関の実務に及ぼす影響を詳しく知りたい方は以下をチェック(*゚▽゚)ツ”
改正犯罪収益移転防止法 2016年10月1日より施行!
『Q&A 改正犯罪収益移転防止法と金融実務 [改訂版]』
-取引時確認と疑わしい取引の届出-
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香月 裕爾 編
A5判 240頁
価格:本体1,800円+税
2016年6月20日発行
ISBN978-4-7668-2386-8 C2032