融資推進3級とは? 2026年度から始まる新試験の範囲・難易度・勉強法を徹底解説

2025年12月03日

✅この記事でわかること

・融資推進3級の概要と狙い
・出題範囲とサンプル問題の紹介
・対応教材の概要
・「融資管理3級」との違いについて


 

近年、金融機関では若手の段階で早期に融資推進のスキルを求められる場面も多く、「どこから勉強すればいいのかわからない」「実務に必要な知識を体系的に学ぶ機会が少ない」と感じる方も少なくありません。

2026年度から始まる銀行業務検定試験「融資推進3級」は、まさに融資未経験者や若手行職員が、実務の基礎を効率よく身につけられるよう設計された新試験です。

顧客理解やニーズ把握、提案プロセスといった、渉外・融資担当として最初に求められるスキルを順序立てて学べるため、自信をもって現場に臨むための“入門編”として最適です。

銀行業務検定試験「融資推進3級」とは?

銀行業務検定試験では、2025年度まで「法人融資渉外3級」「法人融資渉外2級」「個人融資渉外3級」など、融資分野の試験が複数に分かれて実施されていました。

しかし業務のデジタル化や顧客ニーズの多様化が進む中で、行職員に求められるスキルは従来以上に横断的で、より実務に直結した内容が必要とされています。

 

こうした変化を踏まえ、上記3種目は2026年度から廃止され、新たに「融資推進3級」が創設されました。

融資の基本知識から企業実態の把握、融資実行後の管理・回収、資金回収のほか、個人向けローンの推進までを“ひとつの試験で体系的に学べる”よう設計されており、現場で求められる基礎力をより効率的に身につけられる構成になっています。

 

「融資推進3級」は、「法務3級」「財務3級」「税務3級」に続くキャリアパスとしても活用でき、基礎3分野を押さえたうえで、融資提案の実務能力を強化したい行職員に最適なステップアップ資格です。

試験概要

「融資推進3級」は、CBT方式での実施となり、受験者が自分の都合に合わせて試験を受けることができます。

 

2026年度の試験日程は2026年4月27日(月)~2027年3月31日(水)です。
※申込期間は2026年4月24日(金)~2027年3月28日(日)。

※CBT試験受験には一律330円(税込)の事務手数料が別途かかります。

試験範囲

「融資推進3級」は、融資業務をより理解しやすくするために、企業の実態把握から資金回収までの流れを中心とした、シンプルな設計となっています。

サンプル問題(一例)

【五答択一式】

〔問-1〕 融資業務に関する以下の記述について,適切でないものは次のうちどれですか。

 

(1) 融資業務は,預金業務や為替業務と並ぶ金融機関の三大業務の1つであり,金融機関は融資業務を通じて,預金として集めたお金を金融機関の責任において運用し,企業や個人の経済活動に供給している。

(2) 企業が財やサービスを生産し,家計がそれらを消費するといった経済活動を行うためにお金を必要としている人のところに,お金に余裕のある人などから融通することを「金融」という。

(3) 直接金融とは,預金者が金融機関に預けたお金を金融機関自身の判断で企業などへ貸し付けてお金を融通することをいい,重要な金融機能となっている。

(4) 金融機関本来の業務から得られた収益は「業務純益」という指標で示され,この業務純益は業務粗利益から営業経費と貸倒引当金を差し引いて計算される。

(5) 企業や個人の要望に応えるには,融資担当者自身の努力が必要不可欠であり,融資担当者は融資商品や融資判断等に関する知識はもちろんのこと,企業を取り巻く環境や業種の特性等を幅広く知っておかなければならない。

 

正解(クリックで表示)

(3)

 

【事例付き五答択一式】

I 次の事例にもとづいて,〔問-1〕および〔問-2〕に答えてください。

甲銀行融資渉外担当のDさんは,取引先である(株)L電子部品製造会社のY常務より,当期の運転資金として150百万円の借入申込みを受けた。
Y常務の説明によれば,取引拡大等により売上高が前期の1,800百万円に対して20%増加し,増加運転資金が発生するとのことであった。

Dさんはさっそく,Y常務の説明内容および下記の比較貸借対照表(抜粋)にもとづき,借入申込額と増加運転資金の妥当性について検証することにした。なお,L社の売上の一部は,受注生産である

〔問-1〕L社の信用状態を把握するために,Y常務の説明内容や比較貸借対照表(抜粋)の分析を踏まえた上での確認すべき点について,重要度の低いものは次のうちどれですか。

(1) 販売回収条件が悪化している原因は何か。

(2) 棚卸資産回転期間に大きな変動はないが,不良在庫は存在していないか。

(3) 支払条件が厳しくなっている原因は何か。

(4) 売上増加に伴う商品別の売上動向や採算の状況等はどのようになっているか。

(5) 取引先との取引条件はどのようなものか。

 

正解(クリックで表示)

(4)

 

〔問-2〕L社の当期増加運転資金のうち売上高の増加に伴う増加運転資金の金額について,適切なものは次のうちどれですか。

(1) 33百万円

(2) 38百万円

(3) 58百万円

(4) 164百万円

(5) 255百万円

 

正解(クリックで表示)

(3)

 

融資推進3級の学習教材

融資推進3級の学習教材として現在案内されているのは、次の2つです。
①通信講座「やさしい融資業務コース」
②2026年4月下旬に発刊予定の「対策問題集」

試験の趣旨や内容を踏まえると、初学者や若手が効率よく基礎を固めるためには、まず通信講座から学習を始めるのがおすすめです。

 通信講座「やさしい融資業務コース」

本講座は、「融資業務に対する“不安”を取り除き、“自信”に変える!」をコンセプトに設計された入門コースです。

初期の段階で苦手意識をもたせないよう、押さえるべきポイントをコンパクトにまとめており、融資業務全般の基本を一通り身につけられる“融資入門の決定版”として高い評価を得ています。

特に別冊教材の内容が充実しており、若手の行職員やこれから融資を学ぶ人にとって非常に役立つとの声が多く寄せられています。

利用者からは、

  • 「事前準備から提案の勘どころ、決算書のチェックポイント、上司への報告まで網羅されていて現場で使いやすい」
  • 「動画で要点を確認できるのがありがたい」
    といった感想があり、実務と学習のギャップを埋めやすい点が強みです。

 

受講期間:2か月、添削:2回
テキスト:B5判2分冊+別冊
受講料:13,970円(税込)

 → 詳細はこちら

 

対策問題集

試験の出題傾向に慣れるには、対策問題集の活用が欠かせません。
年度改訂版として発刊されるため、最新の出題形式に沿って演習できるのが特徴です。

※2026年度版は、2026年4月下旬刊行予定です

「融資管理3級」との違い

銀行業務検定試験には、新設される「融資推進3級」と並び、既存の融資系資格として「融資“管理”3級」が存在します。両者は名称こそ似ていますが、学ぶ内容も役割も大きく異なります。

 

「融資管理3級」は、融資実行後の債権管理・回収・企業観察など、リスク管理寄りの実務知識を測定する試験です。

担保権実行や任意回収、倒産時の対応など専門的な領域を扱っており、融資の管理業務に携わる人や、法務知識を深めたい行職員が主な対象になります。

 

試験範囲には、

  • 融資通則
  • 倒産の予知と対応
  • 任意回収・強制執行
  • 担保権実行
  • 仮差押え・仮処分
  • 整理手続
  • 債権償却 など、
    かなり専門性の高いテーマが含まれています。

 

試験方式はCBT方式で、試験時間120分。
出題は五答択一式で、〔基本知識〕30問と〔技能・応用〕10題20問の構成。
受験料は5,500円です。

 

一方の「融資推進3級」は、融資未経験者や若手が“融資提案の基礎”を身につけるための入門資格として設計されています。顧客理解やニーズ把握、提案プロセスなど、営業店での渉外・融資推進に直結する内容が中心です。

 

つまり、

  • 融資推進3級 → 融資を「始める人」「提案力をつけたい人」向け
  • 融資管理3級 → 融資実行後の管理・回収を担う「専門担当者」向け
    という位置付けになっています。

 

まとめ

融資推進3級は、これまで融資に携わったことがない行職員や、若手のうちに融資提案の基礎を身につけたい方に最適な試験です。

学習教材としては、まず通信講座「やさしい融資業務コース」で基礎を固め、その後対策問題集で出題形式に慣れるのが効率的です。

これから融資に携わる行職員や若手の方は、ぜひ本試験を活用して基礎力を身につけ、現場での自信につなげてください。