10月30日に開講を予定している「withコロナ時代に取引先と考える 事業継続サポートコース」では、取引先の過去(これまでの業績・業況・財務状況)・現在(コロナ禍のなかの資金繰り)・未来(今後の業況予測と資金繰り、ビジネスモデル)にフォーカスして、豊富な事例とともに中小企業の支援方法を解説しています。
今回の記事では、テキストの中から1つの事例をご紹介します。
ある飲食店(A社)の事例
A社のこれまで(過去)
A社は、有名洋食レストランでシェフを務めていたK氏が、数年前に開業した洋食レストランです。
牛タンを中心とした創作料理を提供しており、創業から女性客をメインターゲットとしたマーケティング戦略が奏功し、予約しなければ利用できないほどの人気店でした。
A社の業況(現在)
しかし、そんなA社も新型コロナウイルスの影響を受け来客数が大きく減少し、2020年4月の1日あたりの売上高は、前年同月比25%程度まで落ち込んでしまいました。
この状況はいつまで続くのか見通しが立ちません。そこで、K氏はメインバンクであるB信用金庫とともに、今後の資金繰りについて話し合う機会を設けました。
B信用金庫はK氏に対して、以下の3パターンの資金繰り表を作成することを提案しました。
① 楽観パターン:新型コロナウイルスの影響が3ヵ月程度続く
② 普通パターン:新型コロナウイルスの影響が6ヵ月程度続く
③ 悲観パターン:新型コロナウイルスの影響が12ヵ月以上続く
K氏はその助言に従い、試算表を作成しました。そして、③悲観パターンで作成した試算表は以下のような内容になりました。このなかでは、6月までの3ヵ月間は4月並みの売上高が続き、その後も前年比の40%前後を推移する予想を立てました。
その他の収入として、5月中に持続化給付金2,000千円を織り込み、人件費や地代家賃は固定費として扱っています。
この予想のとおりに業績が推移した場合、資金調達を行わなければ9月には資金がショートしてしまいます。また、年間4,036千円の資金不足が発生することが把握できました。
A社の対策(未来)
現状のまま何も対策をしなかった場合、悲観パターンの資金繰りが現実味を帯びてきます。そこでK氏は、以下の対策をとることにしました。
① テイクアウトと宅配事業の強化
② オープンテラスの設置
③ 店内の感染症対策の強化
④ SNS等による広報強化
そうした取組みを実施するにあたり、K氏は小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)を活用することにしました。
これは、商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいる「小規模事業者」および、一定の要件を満たした特定非営利活動法人が、①サプライチェーンの毀損への対応、②非対面型ビジネスへの転換、③テレワーク環境の整備のいずれかを1つ以上行う場合に、最大で100万円が補助されるものです(対象経費や補助率等、詳細はHPを参照してください)。
A社はこうした取組みを反映して、資金繰り表を次のように更新しました。テイクアウトの実施により売上を前年対比50%程度まで確保し、オープンテラスの設置後は、前年対比70%程度まで戻る想定での資金繰り表です。
B信用金庫は、この支出をトータルで勘案し、余裕運転資金も含めて8,000千円の運転資金を融資しました。運転資金はセーフティネット保証5号を活用するとともに、今後の不確実性にも配慮し、据え置き期間は3年を設定しています。
現在、A社の売上はほぼ想定どおり回復しており、B信用金庫の伴走型支援によりA社との関係性は、以前よりもさらに強固なものとなりました。A社とB信用金庫は、さらなる事業展開をともに描き続けています。
上記の内容は、「withコロナ時代に取引先と考える 事業継続サポートコース」の事例の一部を簡略化して掲載したものです。本コースでは、こうした事例を約20事例ほど掲載し、資金繰り支援や補助金・助成金の活用法、今後の本業支援に必要となる知見を多数掲載しています。
上記の記事に興味を持った方のご受講を心からお待ちしております!
☆「withコロナ時代に取引先と考える 事業継続サポートコース」
受講期間:2か月(テキスト:2分冊/添削:2回)
受講料:9,240円(税込)
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